第7回 日本医療研究開発大賞 健康・医療戦略担当大臣賞を受賞

日本医科大学先端医学研究所 生体機能制御学分野 本田一文大学院教授は、 2025年1月17日に「第7回 日本医療研究開発大賞」の健康・医療戦略担当大臣賞を受賞いたしました。この賞は、大学、公的研究機関、企業等における医療分野の研究開発やその成果の実用化において、画期的・重要な成果を収める、先導的な取組を行うなど、研究開発の推進に多大なる貢献をした事例に関し、その功績をたたえることにより、我が国の医療分野の研究開発の更なる進展に寄与することを目的とした表彰制度です。

 

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城内 実 健康・医療戦略担当大臣から表彰を受ける本田一文大学院教授

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城内 実大臣と本田一文大学院教授(左)

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石破 茂 内閣総理大臣、城内 実 健康・医療戦略担当大臣ら閣僚との記念撮影に臨む本田一文大学院教授(左から4番目)

首相官邸ホームページ リンク先
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/amed/dai7/index.html

成果の概要(内閣府資料)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/amed/dai7/7th_kaihatsu_taishou.pdf


【研究に対するお問い合わせ】

日本医科大学 先端医学研究所 生体機能制御学部門 
大学院教授 本田一文(ほんだ かずふみ)
E-mail: bioregulation.group@nms.ac.jp

【報道に対するお問い合わせ】
日本医科大学 先端医学研究所 事務室
E-mail: sentankenjimushitsu.group@nms.ac.jp



膵がん診断のための血液バイオマーカーの発見と体外診断用医薬品承認、保険収載、臨床実装

日本医科大学大学院医学研究科生体機能制御学分野 大学院教授 本田一文

日本医科大学先端医学研究所生体機能制御学部門        

本田一文大学院教授が第7回日本医療研究開発大賞 健康・医療戦略担当大臣賞を2025年1月17日に総理大臣官邸にて石破茂内閣総理大臣がご列席のもと、城内実健康・医療戦略担当大臣から表彰されました。

受賞理由は、「膵がん診断のための血液バイオマーカーの発見と体外診断用医薬品承認、保険収載、臨床実装」です。


【功績・受賞のポイント】

  • 膵がんやそのリスク疾患では血液中を循環するアポリポタンパク質A2二量体が特殊な切断を受けることを発見(apolipoprotein A2-isoforms:apoA2-i)。日本医療研究開発機構(AMED)の支援、東レ(株)との共同研究で体外診断用医薬品 「東レAPOA2-iTQ」を臨床開発、薬事承認、公的医療保険収載、臨床実装に至った。
  • 既存の膵がん血液バイオマーカーと同等以上の性能を持つ腫瘍マーカーとして保険収載に至ったのは約40年ぶりであり、膵がん診断する可能性を拡大した。
  • アカデミアが基礎研究で発見したバイオマーカーシーズを、国内外の多施設共同研究でエビデンスを積み重ね、AMED等の公的研究費の助成を受けながら「膵がん診断を補助する診断薬」として厚労省承認、保険収載された体外診断用医薬品の創薬案件で、産官学が緊密に連携しながらバイオマーカーシーズ同定から臨床開発まで一気通貫で実施された好事例である。


【概要】

  • 膵がんは5年生存割合が極めて低い難治がんで、予後の改善には早期診断が欠かせない。一方で、膵がんは臨床症状が乏しく早期診断は困難で、人口10万人あたり35人程度の罹患者数しか存在しない膵がん患者を効率よく発見する侵襲の低い検査法(血液検査等)の開発が、急務であった。
  • 本田一文教授(日本医科大学)は膵がん患者と健常者の血液中を循環するタンパク質を徹底的に分析したところ、膵がんを検出する新たな血液バイオマーカー「ApoA2-i」を発見、これを測定する研究用試薬を作製し、その濃度を計測したところ、既存の膵がん血液バイオマーカーより膵がん判別性能が高いことを見出した。国内の多施設研究や、米国国立がん研究所、ハイデルベルグ大学、国際がん研究機関、ドイツがん研究センターなどとの国際共同研究でも、その概念は実証された。
  • 関連特許を東レ(株)にライセンス、共同研究により体外診断用医薬品「東レAPOA2-iTQ」の臨床開発に成功、承認、保険収載に至った。「膵がん診断を補助する腫瘍マーカー」として保険医療を受けることができる。


以上

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