AMEDの支援を受けて開発された膵がんの血液バイオマーカー(アポリポプロテインA2アイソフォームズ)が、公的医療保険で臨床使用可能になりました。


日本医科大学

国立がん研究センター
日本医療研究開発機構(AMED)

【成果の概要】

日本における膵がんの罹患者数は約44,000人(2019年)、死亡者数は年間約39,000人(2022年)に上ります。また、膵がんは早期に発見できれば生存率の向上が期待されますが、自覚症状が現れにくく進行が早いため、早期に発見することが難しいがんの一つです。

本研究は、➀膵がん前がん病変であるIPMNやリスク疾患である慢性膵炎・膵嚢胞、膵がん間接所見である主膵管拡張、膵脂肪浸潤などを診断する血液バイオマーカーの開発、②早期膵がんの発見の契機を増やし、膵がんの予後改善に貢献するべく、膵がんリスク疾患を診断する血液バイオマーカーの体外診断用医薬品の開発、ならびにその実用化を目標に進められてきました。

その成果として、膵がん患者の血液中での2種類のAPOA2アイソフォーム(APOA2-ATおよびAPOA2-ATQ)の量比が変化することに基づき、APOA2アイソフォームを測定する試薬の体外診断用医薬品としての開発を進め、臨床性能試験により膵がんの検出における有用性が確認されたため、2023年6月8日に膵がんの診断補助としての薬事承認を経て、このたび保険収載が決定し国内販売が開始され、公的医療保険での検査が可能になりました。

本邦で製造販売承認された本品による検査方法は、血液を用いるため、より多くの方々が受診しやすい検査です。既存の腫瘍マーカー 「CA19-9」 とは異なる物質を測定することから、本品と 「CA19-9」 とは相補的な腫瘍マーカーとして機能し、適正使用指針に基づいて使用することで膵がんの早期診断に資すること、また既存の腫瘍マーカーでは検出できなかった膵がん患者を検出できることが期待されます。

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